何か隠してるな、無理してるなって、絶対勘づいているはずなのに。

話を合わせてくれた父の優しさに罪悪感が募る。


ごめんなさい。


でも、もう泣いてばかりの小さな子供じゃないから。

1人で眠れるくらい大人になったから。



【お父さんはクラス委員は経験したことがないから、あまり勝手なことは言えないが……大変な時は、周りを頼るんだぞ】

「うん」

【秋恵ちゃん達でも、涼馬くんや瀬那ちゃんでもいいから、1人で抱え込まないこと】

「わかった」

【……押しつけられてるって、わけではない?】

「ないよ! みんないい人達だから! 先生も優しいし!」



声を張り上げて即答すると、「慌てすぎ」と笑われてしまった。



「……ごめんなさい。あの、お母さんには……」

【わかってる。内緒にしとくから。お風呂上がったみたいだから、そろそろ切るな】

「うん。……ありがとう」



バイバイと手を振り合い、通話終了ボタンを押した。

アプリを閉じて、1度深呼吸をする。


明日もまた懲りずにやってくるんだろうな。
嫌だな。行きたくないな。

毎日朝が来るたび絶望を感じていて、鉛がくっついてるんじゃないかってくらい足取りが重い。


けど、今はあの頃とは違って、心強い仲間がいる。


きっと、大丈夫。乗り越えられる。


心からの笑顔で両親と再会できるよう、彼に立ち向かうことを決心した。