「そっちこそ誰? 英の知り合い?」

「知り合いも何も、クラスメイトだよ。小学校のな」



一触即発のピリついた雰囲気。

生徒達もその異変に気づいたのだろう、周囲を見渡してみたら注目の的になっていた。


廊下と、教室の窓からと、全方位から視線が突き刺さり、再び心臓が激しく暴れ出す。



「久々の再会で盛り上がってたのに。誰かさんが邪魔してきたせいで台無しだよ」

「……そのわりには全然楽しそうに見えなかったけどな」



独り言のように呟いた青倉。

だが彼は挑発されたと受け取ったようで。薄紅色の唇がピクリと引きつる。



「英? どした?」



青倉のブレザーを引っ張り、首を横に振って訴えかける。


お願い、やめて。


あの人はあなたが思っている以上に、陰湿で執拗で、悪意に満ちあふれているの。

敵に回したら恐ろしいの。巻き込みたくないの。


だからお願い。これ以上刺激しないで。