廊下に私の名前が響き渡った。


心臓がバクンと嫌な音を立てたけれど、最初の1回だけ。


スクールバッグを肩にかけた青倉が、私達めがけて猛スピードで走ってきた。



「大丈夫か? 立てる?」

「っ、うん」



差し出された手を取ってゆっくりと立ち上がる。


ギュッと握りしめられた右手がとても温かくて。

唇を噛みしめ、込み上げてくる涙をこらえる。


けれど……。



「おい」



私にとっては救世主でも、彼にとっては乱入者。

当然見逃すわけがなく、骨張った手が青倉の肩を掴んだ。



「なに、お前。つーか誰」

「委員長の……英のクラスメイトだけど」



冷酷な眼差しで睨みつける彼に、青倉は毅然とした態度で言い返した。

両者の間にバチバチと火花が飛び交う。