「元気だった?」と頬杖をついて微笑む彼。

恐れていたことが現実となり、全身の血の気が引いていく。


いつからいたの? 一体どこから現れたの?


全然って……ずっと捜していたの?


どうして? なんで?

私のことが、嫌いなんじゃなかったの……?


脳内で疑問符がぐるぐる駆け巡るも、声が出せず。

茶色い髪の毛から覗く色素の薄い瞳に、怯える自分の顔が映った。


冷や汗が流れたのを感じ、パッと目を逸らして、膝の上のプリントに視線を落とす。


すると、彼の指先が顔に伸びてきて──。



「あ、もう耳栓は卒業したんだ?」



フェザータッチに身を震わせたのも束の間。

薄紅色の唇が不気味に弧を描き、背筋が凍りつく。


その瞬間。



「英っ!!」