真実と嘘を交ぜたカモフラージュ作戦で話し、最後に謝罪。

「良かったぁ〜」と安堵した表情に若干後ろめたさを感じつつ、自分もぎこちない笑みを浮かべる。


……真相は、元気になった後に、いや、もうちょっぴり仲良くなった後でいいかな。



「マジでごめん。でも良かった、嫌われてなくて」

「ふはっ。嫌わないよ、その程度で。むしろす──」



ハッと我に返り、慌てて口に手を当てる。

やっ、私、今何を……。



「す……?」

「素敵! すごく素敵な人だなぁって! 周りのことよく見てるし、さりげなく気遣いしてくれるし。ちょっとおしゃべりだけど、青倉が来るとみんな笑顔になるからさ。場の空気もパッと明るくなるし。人を魅了するオーラがあるというか」



危うく口走りそうになった想いを隠すように。
“好き”という単語にたどり着かれる前に。

身振り手振りを使って、早口でまくし立てる。


あからさますぎて逆に怪しまれそうだけど……これでも嘘偽りはない。全部本心だ。


すると、いぶかしげそうに首を傾げていた彼の顔が、徐々に赤らんで……。



「ありがと。俺も、英のこと、素敵な人だと思ってるよ」

「そ、そう?」

「うん。綺麗だしかっこいいし、優しいし頼りになるし。先生からも信頼されててすげーなって尊敬してる」



屈託のない眩しい笑顔に、もったいないくらいの褒め言葉。

安堵したのと同時に、顔がポッと上気するのを感じたけれど……。



「英は俺ら1組の自慢の委員長だよ」

「……ありがとう」



“委員長”

その言葉がやけに大きく響いて、胸の奥がチクッと痛んだ。