直感的に嫌な予感が駆け巡る。

この展開は、もしや……。



「俺、あの日、何やらかした……?」



上目遣いで制服の袖を掴んできた。

可愛い子がやると破壊力抜群だけど、イケメンがやるのもなかなかの威力……。



「正直に答えていいから。起きた時、俺どこにいた? 座布団? 英の布団?」

「あの、えっと……」



必死な眼差しを向けられて言葉が詰まる。


ううぅっ、なんで今なんだよ……。


指先でつまんでいるから、振りほどこうと思えばできる。けど、病人相手に乱暴はできない。


どうしよう。答えようにも、正直に言ったら絶対混乱させちゃう。

かといって誤魔化すのも……。



「……一緒の布団にいました」

「……そう、か」

「でもっ、私は無事だから!」



なんともないよと言わんばかりに、もう片方の腕を曲げてマッスルポーズを取る。



「蹴られても殴られてもないから大丈夫だよ!」

「ほんと……? ぶつかってきたりとか、ひっついてきたりとかも?」

「うんっ。目の前にいたからビックリしたけど、痛みもアザもないから。顔見たら思い出しそうだったから、ちょっと距離取ってたの。ごめんね」