えっ、エスカレーター組!?
だとすると、元クラスメイトの可能性もある……!?



「誰!?　何組!?　何くん!?　学科は!?」

「ええと、学科も希歩と多分同じで、名前は──」



眉根を寄せる横顔を凝視していると、「あっ」と短く声を漏らした母。

思い出したのかと思いきや、突然手を振り出した。

視線をたどってみると、遥か前方にこちらに向かって手を振る中年女性が。

近づくにつれて表情が鮮明になり、彼女が母の友人なのだと理解した。



「いらっしゃい富子(とみこ)ちゃん！　来てくれてありがとね」

「こちらこそ。忙しいところごめんね、娘がお世話になります」



運転席の窓が開き、再会を喜ぶ2人。眺めていたら彼女と目が合ったので、ペコッと会釈する。


母とは中学時代からの友人という秋恵(あきえ)さん。

私と瀬那が出会ったように、2人もここの受験会場で出会い仲良くなった。つまり大先輩。


大人になってからも連絡は取り合っていたそうなのだけど、直接会っていたのは年に1回ほど。

中学の入学式でバッタリ再会したのを機に交流が増えたのだという。