そろそろ昼休みの時間だなと思いながら、ベッドに寝っ転がりぼうっと天井を眺めていたら、タブレットから通知音が鳴った。

この音はメッセージアプリのものだ。
どきりとした。

またそれとなく心配をかけないメッセージを送らなければならない。
それをおっくうに感じつつ、ベッドからむくりと起き上がりアプリを開いた。

「……え、」

男子からだった。

「……一ノ瀬くん」

同じクラスのムードメーカーであり人気者の一ノ瀬くん。
身長はクラスで1,2を争うくらい高くて、でも不思議と威圧感はなかった。

席替えで同じ班になったときに、何度か話したことあったっけ。

『飯野、最近元気か?』

短いメッセージだった。

元気かと聞かれて、元気だよと返していいのかわからない、
元気だったら学校に行けよと思われるに違いない。

結局、

『病気にはなってないよ。ありがとう』

と返した。


すぐにメッセージが返ってきた。

『病気じゃないならよかった。ゆっくり休めよ』

うん。と返してしばらく放心していた。

男子とメッセージのやり取りをしたのはかなり久しぶりだったからだ。
そもそも一ノ瀬くんは友達リストに入っていなかった。
友達リストに入っているのはクラス全員参加のトークルームと同じクラスの女の子全員、あとは宿泊学習で同じ班になった男の子3人くらいだった。

一ノ瀬くんはおそらく私のアカウントをトークルームから見つけてわざわざ連絡をくれたのだ。