目の前にいる男は、どう見ても上京三年目にして、ようやくめぐり逢えた王子様という器ではなかった。



つくづく眺めて見れば、これといって嫌な所も見つからない。



さりとて心惹かれる所も見当たらない。



黒目は意外と大きいけれど、一重だから目立たない。



切れ長の瞼は笑うと目尻が垂れ、こけた頬まで一気に繋がってしまう。



少々上を向いた鼻孔は、せっかく通った鼻筋の印象を台無しにしている。



要するに、何もかもが中途半端なのだ。