『それが、頑として聞き入れないの。もう、逃げ道を作りたくないんだって』



それでも勇介は敢えてその道を選んだという。



難しい易しいではない。



向き不向きでもない。



失敗した時のリスクも、人々の心ない嘲笑も、いや、友の心ある忠告さえも、もはや意味がない。



彼は、自分が本当にやりたいことが何よりも大事なことだと気づいたのだ。



そして、その夢にすべてを賭ける覚悟を決めたのだ。



井ノ原くん…



勇介の強い意志が美里の心を突き動かしていた。