永過ぎた春にピリオドを打ち、修司と式を挙げることになったと梨花子から電話をもらったのがちょうど一ヶ月前のこと。



『やっと勇介にも連絡がとれたの。あいつ、大学辞めてから、プロ野球の入団テストに向けて独りでトレーニングしてたんだって』



『えっ、野球?の?』



ボクシングじゃなくて?



『小学生の将来の夢じゃあるまいし、今さら野球選手って…

ねぇ?どうしてもやりたいんなら、実業団でノンプロとしてやればいいじゃん。

大学まで辞めて、ダメだったらその後いったいどうすんのよって』



確かに梨花子の言う通りだ。



世間から注目を浴び、才能を開花すべき時期にぽっかり抜け落ちたブランクは半端な努力で埋められるものではない。



誰もが無謀と笑うだろう。



修司も梨花子もはじめは一笑に伏したと言う。