留学当初は言葉の壁に苦しんだ賢も、今ではすっかり現地の暮らしを満喫していると聞く。
原住民の人と撮った写メをハルさんに見せてもらった時は、賢を捜すのに一苦労だった。
その真っ黒な笑顔は絶対日本人とは思えない。
親のコネもあり、早々に繊維関係の大手企業に就職を決めた修司は、東アジアを股にかける生活を続けていたが、父親が体調を崩したのをきっかけに家業を継ぐことになった。
美里が再び亜弓を訪ねた時、アパートはもう、もぬけの殻だった。
手がかりさえもつかめない。
賢との約束は果たされぬまま、もう亜弓は美里の手の届かない所へ行ってしまった…