そうだ。俺は何もわかってなかった。
薄汚い大人に弄ばれ、誰からも守ってもらえず、一人で苦しみを背負ってきた瑛子。
「生きる世界の違う人とマジで関わっちゃダメよ」と教えてくれた瑛子。
悲しい時、寂しい時、いつもそばにいてくれた瑛子。
それなのに俺は、瑛子が仮面を被り続けているのをいいことに、彼女を心ない道具のように扱ってきた。
いくら仮面をつけたって、心の線まで切ることはできない。
熱い血は流れている。
心の奥では涙も流れる。
それは俺が一番わかっていたはずなのに。
「俺…おまえの強さに、ずっと甘えてた…」
いつしか勇介の目にも涙が伝っていた。
「瑛子…ごめん…」