夕食時間も終わり、大学病院の大きなロビーはひっそり静まり返っていた。



心細くなってくる気持に踏ん切りをつけるべく、病院職員に声をかけた。



「あの、佐山瑛子さん、なんですが…」



部屋番号を確認し、エレベーターで九階まで上がった。



瑛子は病状が病状なので、ナースステーションの隣にある個室に入っているということだった。



様子を聞いた看護師に、「くれぐれも興奮させないでね」と念を押され、



「はい、もちろんです」と笑顔で答えたが、病室をノックする手が震えた。



「どうぞ」




しばらくして、気だるい声が返ってきた。



美里は思いきってドアを開けた。