美里は今でもときどき、あの時の夢を見る。



『勇介はあたしの命よ』



そう言って瑛子が浮かべた不敵な笑み。



怖かった。



美里の中途半端な勇介への想いなど、木っ端微塵に吹き飛んだ。



自分の命なんて何とも思ってない人。



とても話が通じるような相手ではない。



それでも、美里は瑛子のもとへと向かっていた。



たった今、目に焼きつけてきた亜弓の屈託のない笑顔が、虚勢を張っても隠しきれない悲しみが、走り去っていく小さな肩が、彼女のすべてが背中を押してくれた。