「じゃあね」



亜弓はホームに降り立つと、車内の美里に向かってバイバイと手を振った。



「またつき合ってね」



「いいよ。でも、今日みたく無理しないでいいよ」



プルルルー、プルルルー。



電車の発車音が鳴った。



美里は閉まりかけたドアからホームへ飛び出し、亜弓の腕を取った。



「これ、もらってくれる?」



美里はバッグから取り出した紙包みを亜弓に握らせた。



別れ際に渡そうか、やっぱりやめようか、最後まで迷っていたプレゼント。



甘酸っぱい苺ミルクのキャンディ。