美里がその連絡先を手に亜弓を訪ねたのは、それから数日後のこと。
12月も押し迫り、緑と赤のクリスマスカラーで彩られたアーケードはそれなりに活気を帯びてはいたが、そんな賑わいの中にもどこか寒々しい匂いのする町だった。
初めて来たのに、どこかで見たような風景だと美里は感じていた。
下ろしたてのブーツで凍てついたアスファルトの道をコツコツ歩く。
小さな路地を数回曲がり、錆びれた工場の前を通った時、ふと気づいた。
勇介を訪ねた時と同じような景色だと。
あの時は草木も青々と繁り、むせるような息苦しさを覚えたが、今日は雑草さえ見当たらない。
土曜の昼下がりだというのに、子供の声も聴こえない。
辺り一面虚無感が漂っている。