気がつくと、美里は研究室を飛び出していた。 嘘、嘘よ。そんなはずないわ。 走りながら涙がポロポロ溢れてくる。 何なのよ。 さっきは怖くて扉を開けられなかったくせに! 何で涙が出るのよ。 バッカじゃない! スポットライトに照らされた『R.grey』の文字が美里の足を止める。 ハンカチで目を押さえ、息を整え、さっきどうしても開けられなかった扉を渾身の力を込めて…押した。 お願い、いて!