「俺……、ついさっき、夕食をコンビニへ買い出しに行った時、二人を見かけたよ」



美里の胸に黒い雫が一滴、ぽたりと落ちた。



「二人で駅前のスーパーから出てきた」



落ちた雫がシミになった。



「袋からネギなんて覗かせてさ。ありゃ鍋だな。

こっちはコンビニ弁当だってのに、鍋なんていいなぁて思ったからよく覚えてる。

別れ話なんて、鍋つつきながらするかなぁ」



揉み消そうとすればするほど、シミは醜く広がってゆく。



「嘘だと思うなら自分の目で確かめてくればいい。

アールグレイで、あいつがきみを待ってるかどうか」