「あ…遅くまで、研究してるのね」
「研究なんて大それたもんじゃ。どっちかっていうと、こいつらに遊んでもらってるっつうか…
あ…、匂う?」
賢はハムスターの尻尾をひょいとぶら下げ、鼻に皺を寄せた。
「俺はもう麻痺してるけど、敏感な人には結構キツイみたいで」
「う、ううん。そんなことは…」
「ちょっと待ってて」
賢は消毒液で丁寧に手を洗い、カーテンで仕切られた奥のコーナーからカップを二つ手にして戻ってきた。
「確かコーヒーはブラックでよかったよね。熱いから気をつけて」
賢は椅子とカップを美里に差し出した。
「ありがとう」
美里は伏し目がちに礼を言い、椅子にそっと腰掛けた。
賢は美里を慈しむようにじっと見つめている。