大学通りからキャンパスへ。



そして裏門を抜け、住宅街へ。



西へ西へ夕日を追いかけるように歩き続けた。



やがて大きな線香花火の火種がぽとりと落ちるように、太陽が最後の光を放って灰色の雲の彼方に呑み込まれてしまうと、美里はその場に茫然と立ちつくした。



ふいに道標を失った美里に、薄暗闇の中から小さな明かりがチラチラ囁きかける。



それは、家々の庭や玄関先に飾られたクリスマスイルミネーションの瞬きだった。



美里はその光に導かれるよう、再び舗道を歩き出した。



しばらく行くと、巨大なクリスマスツリーが目の前に立ちはだかった。



電飾を巻きつけられたそのきらびやかなツリーが、昼間見たあのケヤキだと気づいた瞬間、止まっていた思考回路にスイッチが入った。



撮り終わったフィルムが巻き戻っていくように、勇介の幻影が頭の中でフィードバックし始める。