「そうじゃない。そういう事じゃないの。誰を愛してるとかいないとか、そういう事じゃないの!」
ランチタイムはとうに終わっていた。
閑散とした店内に響き渡った自分の声にはっと我に返った。
勇介は探るような眼差しを美里に向けた。
美里は飲み残したティーカップをすすり、改めて自分に言い聞かせるように、ゆっくり唇を動かした。
「何かことある度に流されて、傷ついて、自分の気持さえわからなくなって…わたしだって苦しんだわ。
もうこれ以上振り回されたくないの。恋だけに振り回される人生なんて嫌。
わたしだって自分の存在を確かめたい。もっとしっかり自分と向き合いたいの」