「どうしました?!」



騒ぎを聞き、警備員が駆けつけた。



「何でも…ないっす」



賢は吐き捨てるように言った。



「おい、きみ、ちょっと待ちなさい!」



警備員の声に耳も貸さず、勇介は猛烈な勢いで店を飛び出した。



まとわりついて泣き叫ぶカオルを蹴散らし、歩いて、歩いて、メチャクチャに歩き続けた。



何てことを…



無意識のうちに辿り着いたのは、やはり瑛子のアパートだった。



主は夜の勤めに出た後だ。



勇介はドアを背にその場にズルズルとしゃがみ込んだ。