生まれて初めて感じる激しい感情が勇介を揺り動かしていた。
ドロドロとした熱いものが、からだの底から突き上げてくる。
気がつくと勇介は二人の前に立ちはだかっていた。
「おっ、勇介」
賢は一瞬驚いたものの、すぐに屈託のない笑みを返してきた。
が、光り輝いていた美里の笑顔は跡形もなく消え去っていた。
俺が元凶ってわけか。
「元の鞘に納まったようで」
狂おしいまでのジェラシーが勇介を悪魔に変えた。
「真中~。そんなコエー顔で睨むなよ。忘れたのか?夏祭りの夜のこと。なぁ、俺達、あんなに愛し合ったじゃないか」
美里は瞳孔を見開いたまま、茫然と立ち尽くした。
「勇介~」
カオルがレジの方から手を振った。
「ま、お互いヨロシクやろうぜ」