グレンチェックのフレアースカートから覗くスラリとした脚線、細い足首、華奢なヒールが立てる不規則な音…
視線は彼女の足に釘付けになった。
やがて、胸の鼓動を抑えつつ、視線をゆっくりと上へずらしていく。
シャツの袖をたくし上げ、真っ赤なリンゴを値踏みするしなやかな白い腕、手首を滑るシルバーのドレスウオッチ、動く度に揺れる艶やかな黒髪。
真中…
そう呟いた時、彼女の肩越しに、見覚えのある男の顔が垣間見えた。
二人が再びカートを押して歩き出した時、勇介の目に美里のきらきら輝く笑顔が飛び込んできた。
何てきれいなんだ。
何て幸せそうに笑うんだ。
その瞬間、彼女以外のものはすべて色褪せて見えた。
モノクロームの世界の中で、美里だけがスカートを翻し、軽やかなステップを踏み、花のように微笑んでいる。
そして、その視線は賢に…賢だけに注がれていた。