トッチャン坊やを指差し、自分だけでも難を免れようとする変わり身の早さに、ここ最近溜まりに溜まっていたストレスが一気に爆発した。



ガンッ!



二重顎を殴られたカメレオン男は、壁にへばりついたまま気を失った。



ボムッ!



腹をやられたトッチャン坊やは、腰を抜かしてその場で尻餅をついた。



それでもカメレオン男に比べると多少なりとも根性があったらしく、顔を紅潮させてわめき散らした。



「いいか!おまえみたいな、卑しい、や、野蛮なやつは、パパに言って、う、訴えてやるからな!」



店のあちこちが騒然としてきた。



「いい年して、パパ、パパ言うんじゃねぇよ。このブタヤローが!」



捨て台詞を吐き、そのまま店を出ようとした勇介を呼び止める声があった。



「待って」