ただそれだけなのに、である。美しいものはやっぱり美しい。
二人の為にも今日こそは汚名返上を、という本人の思惑とは裏腹に、女性軍の視線は勇介に釘付け。
ため息もののハートマークで部屋中が埋め尽くされている。
その様子に業を煮やしたお坊ちゃま軍団の一人が起死回生の反撃に出た。
小太りで眼鏡の下が油ぎっている、大学生というより、せいぜい三流会社の課長代理といった風貌のトッチャン坊やである。
取っ掛かりは親自慢からだった。
親の職業がいかに素晴らしいか。
いかにいい家に住んでいて、いかにハイソな生活を送っているか。
外車、別荘、海外生活…
はじめは歯牙にも掛けていなかったお姉様方の目がキラリと光った。