「どうぞ」



向かいに座っているピンクのカーディガンの女がしきりにビールをつぎたがる。



一見ナチュラルメイク風の厚化粧といい、連発する上目遣いといい、年下の大学生相手に本気モード全開だ。



OLってのも、案外退屈なイキモノなのかもな。



一方、男性陣はというと、中高とR大の附属で過ごし、親の引いてくれたレールを真っ直ぐに歩いてきた世間知らずのお坊ちゃまばかり。



そのくせ、プライドだけは山のように高いから、修司が一人がんばっても会話がなかなか弾まない。



勇介も決して自ら場をリードするタイプではない。



かと言ってシラケた態度を取るではなく、周りの話を適当に聞きながら、つがれたビールを淡々と飲み、煙草を吹かしている。