『めんどくせー』



そう、いったんは断ったものの、鬱憤晴らしにはまさに絶妙のタイミングだった。



その上、数少ないダチに「今夜は俺が奢るから、梨花子を助けると思って」と懇願されたのでは、もはや断る余地もない。



「こちら、井ノ原勇介くんです」



バーバリーのシャツワンピという、いつになく落ち着いた装いの梨花子が誇らしげに勇介を紹介すると、すっかり意気消沈していた女性陣は一気に華やぎを取り戻した。



とっておきのポーズで熱い視線を送ってみたり、隣同志ヒソヒソ小突き合って牽制したり、わざと取り澄ましてソッポを向いたり…



とにかくさっきまでとはあきらかに様子が違う。



「じゃ、全員揃った所で、もう一度乾杯といきますか」



「乾ぱ~い!」



「乾ぱ~い!!!」



修司の仕切り直しで、ようやく合コンらしい合コンが始まった。