途中で何度か休憩を挟み、小一時間も歩いた頃、



「よーし、到ちゃーく!」



「イェーイ!」



子供らの歓声が響き渡ると、ダウン寸前の美里達もなんとか息を吹き返した。



二人で手に手を取り、よろめきながらも最後の石段を昇りきる。



「ヤッター!」



「先生、見てぇ」



ゴールで待ち受けていたのは、思いがけなく素晴らしい山頂からの眺めだった。



澄みきった青空の下、緑の濃淡が幾重にも重なって織り成す木々のコントラストが目に、胸に、心に沁みた。



野鳥のさえずり、枝を揺らす爽やかな風、すべてのものが疲れ切ったからだを心地よく包み込む。



都会であったドロドロとした一連の出来事が、汗とともに抜け落ちていくような気がした。