『山登りったって標高600メートル位の小学生が遠足で行くようなミニコースだから全然大丈夫ですよ』
と賢は言っていたが、土台その考え方がおかしい。
世の中に小学生ほどパワフルで力を持て余してる人種が他にあろうか。
「あっ、こんな所にケーブルカーが…」
わざとらしく驚いてみせるも、賢は絶対に美里と視線を合わそうとしない。
…ったわよ。歩けばいいんでしょ。歩けば。
渋々歩き出したものの、五分と立たないうちに息が上がる始末。
それでも一人へたってるわけにもいかない。
一年生の女の子が一人、つらそうに列から離されていく様子を子を目にした美里は、自分の居場所を見つけたかのように彼女のもとへと吸い寄せられた。
その小さな背中を押しながら、自分のからだと心も一緒に押した。