グループからポツンと一人離れ、ドアにもたれてぼんやり景色を見ている女の子。



胸のバッジの色からすると、どうやら五年生らしい。



スラッと背が高く、髪の長い、ちょっと人目を引くようなきれいな子だった。



こんな子なら皆の中心にいそうなものなのに。



どうかしたのかな?



不思議に思った美里は、ちょうど見回りに近くを通った賢に声をかけた。



「ああ、亜弓ちゃん?うん、彼女、お家でいろいろあってさ。学校も休みがちなんだ。そんなだから、周りも敬遠しちゃってさ」



賢は美里にだけ聞こえるように、低い声でボソボソ言った。



「ふーん。あんなきれいな子なのにね」



「それが返って反感買う場合もあってさ。とにかく女子の生態はよくわからんよ」



「生態って…何でもトンボみたいに」



美里に睨まれ、賢は苦笑した。