「…多分、わたしが優柔不断で…変な意地を、張った、から…」



それだけのことを言うのに、美里はかなりの時間を要した。



「勇介は確かに短気な所あるけど、そんなことぐらいで切れたりしないわ。

あいつが何より憎んでるのは偽善。誰かのためとか、皆の幸せとか言って、結局は自分のことしか考えてないやつ。

自分でそれに気づいてないようなやつには虫酸が走るってさ」



美里の顔からサーッと血の気が引いた。



膝がガタガタ震える。



瑛子はそんな美里を優しくいたわるように言った。



「あんたが悪いんじゃないわ。勇介の気持がわからないのも、あんたのせいじゃない。

もともとあんたとは『生きる世界』が違うのよ。感じ方も考え方も違って当然なのよ」