そして、勇介は新しい命を身籠った母親のために、大学の学費を手切れ金代わりに家を出たということ。



別れ際に、『これでみんなが幸せになるんや。もう二度とここへ帰ってくるんやないで』と、こっそり耳打ちされたこと。



あの時のあいつのブタのような笑い顔が今も忘れられないということ。



次々に彼女はできるが、いつもそう長くは続かないということ…



「あたしの知ってる限り、あいつがマジで愛した女はいないわ」



放心状態の美里を、瑛子は横目でチラリと見た。



「それより、美里…さんだっけ?勇介がどうしてぶち切れたか、まだわかんない?」