「親父さんが出てったって話は?」
「噂では…」
「その後、夜逃げ同然で大阪へ来た時、あいつ随分荒れててさ。その時からの腐れ縁ってやつ。
ああ、でもあたし達、あんたが考えてるような関係じゃないよ。
あいつの女遍歴、かなりヤバイしね」
美里はゴクリと生唾を呑み込んだ。
「あのルックスだから女の方が放っとかないっしょ。
あっ、気にしないで。全部過去の話だからさ」
「いえ、わたしは…もう…」
「ふうん。勇介と何かあったの?」
思わず言葉に詰まった美里を、瑛子がからかった。
「あ~、何であんたみたいな胡散臭い女に言わなきゃなんないのって顔してる~」
「そんな…」
「ま、そりゃそうだ。でも、あいつのこと、もっと知りたいんでしょ?だったらあんたも聞かせてよ」