三十分後―
二人は駅前の商店街にある古い喫茶店の片隅で顔をつき合わせていた。
瑛子は煙草に火をつけると、目の前に座っている赤い目をした女の子を嘗めるように見上げた。
美里はその無遠慮な視線に懸命に耐えた。
「あんた、金沢の?」
「え?…ええ。中学の同級生で、真中美里って言います」
「やっぱりね。あいつ、昔の同級生に会ったって、最近えらくゴキゲンでさ。
ほら、あいつって狙った獲物は外さないじゃない?」
獲物と言われ、さすがにムッとした。
美里は厚化粧に隠れた瑛子の腫れぼったい瞼を、きっと見つめ返した。
「あの、瑛子さんは井ノ原くんとは、どういう…」