そうこうしているうちに、電車はR大前に到着した。
真っ先に飛び降りた美里は、滑るように階段を降りて地下にある改札口へ、そして再び階段を昇り、地上へと急いだ。
頭上から射し込んでくる一筋の光が、背中に感じる不快感を一気に拭い去ってくれるような気がした。
サンダルのヒールを引っかけないよう、爪先でコンクリートの階段を駆け昇っていく。
中段くらいまできた時、コバルトブルーの幕が視界を遮った。
目を細めて見ると、改装中の駅前の書店の周りを張りめぐらしている工事用シートだ。
そこに午後の強烈な陽射しが乱反射し、ハレーションを起こしている。
息をつめて、その場を通り過ぎようとしたが、突然の笑い声が美里の足を止めた。