彼としては、田舎から出てきた純真無垢な女の子が物珍しかったのだろう。
“つき合う”という言葉の重みも、彼女とは違い過ぎた。
それが県庁所在地とはいえ、所詮北陸の一地方都市・金沢と日本の首都TOKYOの根本的な違いのような気がして、美里はしばらく立ち直ることができなかった。
東京は再び美里に背を向け、美里の方も固く心を閉ざした。
…そして、気がつけば二十歳。
美里はどっぷりとため息をつく。
どうしてこんなについてないんだろ?
これでも女子校時代はまんざらでもなかった。
校門で待ちぶせされたり、電車の中で声をかけられたことも何度かあった。
ただ…その相手が、見るからに頭の悪そうなチャラ男だったり、貧相なモヤシ男だったり。
つき合う、つき合わない以前の問題だったのよ。
そう言えば、一度だけ…