―もっと、刺激的な恋を。―

　家族、友達、恋人。周りの人たちはみんな、大切な人と来ている中で……たった一人、地べたに座っている彼女がいた。

　茨コハクさんだ。

　彼女はすごいなぁ……。自分の胸の内に秘めている思いを、堂々と口に出せてしまうから。
　彼女の破天荒な言動に、ひやひや怯えながらも「すごい」と尊敬してしまう。
　わたしも実は、彼女と同類なのかもしれない。

　
　まるでアイツみたいだ。名前は田村うり。

　嫌なヤツにも愛想笑いを浮かべてペコペコし、理不尽な要求にも黙って従う。
　まさしく犬だ。

　おれは絶対に御免だ。


　「あっ、あの……」

　
　「よかったらこれ、食べてください」