「ルナサマー、ルナサマー」




 心なしか、雰囲気がやわらいだように見受けられます。

 どうやら、警戒を解くことができたようでございますね。

 さて、どこから調べましょうか。


 部屋の中を見回して、机に飛び乗ると、背後からヤシロさまが近づいてこられました。

 私は理性的なヨウムであると自認しておりましたが、思わずバサッと飛び上がってヤシロさまから離れます。

 10年間、賢者と称される大旦那さまに育てていただき、論理的な思考を得たというのに…恥ずかしいことです。




「あまり、そこでうろちょろするな」


「ルナサマー、ルナサマー」




 迫ってくる手に命の危険を感じて、思わず逃げてしまいました。

 ですが、どうやら机には秘密が隠れているようでございますね。

 どうにかして再び近づけないものか、と考えていると、ヤシロさまは不意にポケットへと手を入れて、スマホを取り出されました。