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Side:セージ




「あそこ…で、ございますね」




 寮の周りを飛び回って、日中、お嬢さまのお部屋を訪ねてきたヤシロさまのお姿を、窓の向こうに見つけました。

 幸いにして、今ちょうど、窓をお開けになられましたね。

 私は10センチほどのすき間を狙って、ヤシロさまのお部屋に入らせていただきました。




「…なんだ?」




 床に着地した私を振り返ったヤシロさまは、鳥の本能が警鐘(けいしょう)を鳴らすほど底冷えのする鋭い目をされていました。

 お嬢さまを迎えに来られたときとは違って、切れ味の鋭い刃物のような雰囲気をまとっておられます。

 それは優秀なボディーガード見習いゆえか、危険な本性が隠れているのか…。


 とにもかくにも、すぐに追い出されるわけには参りません。




「ルナサマー、ルナサマー」


「…瑠奈(るな)が飼ってるインコか?」