あれはなんだったのか、と聞かれれば、デート、としか答えようのない外出から帰ってくると、私はセージに詰問(きつもん)された。




「お嬢さまは、ヤシロさまとは()い仲なのですか?」


「なっ、なんで!?」


「お出かけされる際、“キス”と聞こえたものですから」


「そ、それは…その…っ」




 勝手にキスされて片想いしてるだけの関係、なんて素直に答えたらどんなお説教をされるか。

 お説教だけならまだしも、壮士(そうし)センパイとの接触禁止令でも出されたらたまらない。

 …どうせ、セージが壮士センパイと直接話すような事態は起こらないだろうし…っ。




「…そう!もうすぐ付き合うところなの」


「…左様でございますか。承知いたしました。お嬢さまは自由にさせよ、と大旦那さまより申しつけられておりますゆえ」




 ふぅ、助かった…。