ショーケースに反射した壮士センパイが、じっと私を見ているように見えて振り返ると、やっぱり目が合った。

 なに?と問うように首をかしげれば、無言で目を細められる。

 そんなふうに見つめられると照れるんだけど…。


 ほおが熱を持ち始めたのを自覚しながら目をそらすと、ショーケースの中の宝石に目を(うば)われた。

 紫色の…あの輝きは、ダイヤモンド?

 パープルダイヤモンドなんてめずらしい。


 指輪の台座に小さく収まっているけど、その存在感はサイズ以上。

 心臓をわしづかみにされたような感覚がするなんて…私の趣味、変わったのかな?

 あの指輪、欲しいけど…今はアクセサリーを買ってるような状況じゃないし。




「壮士センパイの目的ってなんなの?」


「…キスされたいのか?」


「かっ、彼氏だったのはあのときだけでしょっ!」