イタズラな笑みを浮かべて、私はうしろを振り返った。
壮士センパイはまばたきをして、目を細めながら私を見つめ返す。
黒水晶は希少性が高い宝石。
その名の通り水晶…クォーツの一種で、不透明な黒色をしている。
「私はカラーレスの、透明な宝石が好きなの」
「…ダイヤモンドか?」
「そう」
「セレブだな」
同じ言葉を返されて笑いながら、宝石をながめて歩く。
「オーソクレースとか、カルサイトとかも好きだよ。それこそクォーツも」
「…どうして“透明”なんだ?」
「好きな理由?自然と惹かれるから」
透明な宝石をあしらったネックレスを見つけて、視線が吸い寄せられた。
「本能が求めてる、それに敵う理由なんてないでしょ?」
「…」