幸いにも、と言っていいのか、学園の敷地外に出るまで、私は誰に見られることもなく。

 壮士センパイと手をつないだまま、(なん)なく街に出てこれた。




「それで、どこに行くの?」




 周りの人にはカップルが歩いてるように見えるのかな、なんて考えてドキドキしながら隣に目を向ける。




「どっか」


「え?」




 目的地なし?

 いやいや、まさか。

 “目的”のために外出してるんだし…。




「…高級な店、知らないか。宝石店でも、ホテルでも」


「こ、高級なお店?それなら…」




 おおざっぱすぎる聞き方だけど、宝石店ならここから行ける距離に1店舗ある。

 私は記憶を頼りに、壮士センパイを宝石店へと案内した。