「今、キスしたら…対価はなんになる?」


「えっ…!?ぼ、ボディーガードになって、もらう」


「…じゃあ、するわけにはいかないな」




 さらりと髪をすくって、毛先まで指を滑らせた壮士センパイと見つめ合う。

 …やばい、心臓が破裂(はれつ)しそう。


 私から離れた壮士センパイは、手を差し出して「行くぞ」と言った。




「えっ?そ、外に出るの?」




 当然だと言うような視線を返されて「でも…」と渋る。




「人に見られないように、道は選ぶ」


「…私を狙う刺客(しかく)に見つかったら?」


「ツレに、手は出させない」


「…分かった」




 壮士センパイなら、信頼できる。

 私はうなずいて、壮士センパイの手を取った。