1時間、教室で授業を受けて心が落ち着いてきた。

 前の授業時間、甘い彼氏になりきっていた壮士(そうし)センパイは、チャイムが鳴るなりあっさりと校舎の中に戻って。

 あれはただの演技だったんだって、分かっていたのに突きつけられた気分。


 私の恋心は膨らむばかりで、一向に報われない。




「…」




 結局壮士センパイが護國(もりくに)学園に入った目的は聞けなかったけど…。

 それさえ達成すれば、手が空いて私のボディーガードをしてくれるとか、ないかな?

 そうじゃなくても、壮士センパイのことを知れれば、交渉の材料になるかもしれないし。


 うん、ちょっと壮士センパイのところに行ってみよう。

 にぎやかな教室を出た私は、階段を下りてグラウンドを目指した。

 授業中、窓からグラウンドにいる壮士センパイを見つけたから。