「彼氏でしょっ!」


「恋人と雇用関係になりたくない」




 そう言われてしまえばそれまでで、本音であっても建前であっても私にはなにも言えない。

 どうすれば雇われてくれるの、と思いながら唇を引き結んだ。




「…どうして、ボディーガードにならないの?護國(もりくに)学園の生徒でしょ?」


「ここには、目的があって入った。それは、ボディーガードになることじゃない」


「目的ってなに?」




 今日こそ真意を探ろうと思って目を見つめると、壮士センパイは私の唇を甘噛みしてきた。




「~~っ!?」


「俺の全てを知らなくても、俺が瑠奈の彼氏であることは変わらない。知らなくても、よくないか?」




 私をたぶらかそうという意図(いと)が見え見えの、甘いささやき。

 キスでごまかそうっていうわけ…!?