「彼女に隠すの?」


「結婚相手なら教える」




 笑ってそう言われ、もどかしい気持ちを胸に抱える。

 お母さまが、お父さまに毒を盛られているかもしれない。

 私がお父さまより力をつければ、お母さまを助けられるかもしれない。


 それなら…。




「…壮士センパイ、さっきの。私、四條でいる」




 覚悟を決めて、壮士センパイの目を見ながら告げると、極上の笑みを返された。

 そんな顔するなんて、ずるい…っ。

 真っ赤になって見惚れていると、ぱくりと唇を食べられて。




「っ、ま、たっ…!」


「彼氏なら、当然の権利だろ」




 それとこれとは違う、と思いながらも、彼氏になることを求めたのは私だから言い返せなくて、顔を(そむ)ける。




「じゃあ、ボディーガードになってよっ」


「断る」