授業の始まりを告げる鐘が鳴る。




「次に、チャイムが鳴るまで」


「分かった」




 50分だけの彼氏なんて、むなしいだけかもしれない。

 でも今は、ただ優しくして欲しかった。

 遠慮(えんりょ)なく甘えられる相手が欲しかった。


 だから私は、壮士センパイの背中に腕を回した。




「ウソでいいから、私を守るって言って」


「…一生守る」




 ひどいウソつき。

 でも、もしかしたらって思えるくらいには優しい人だから、体の力が抜けていく。




「…私、お父さまに愛されてなかったのかな。笑いかけてくれたの、全部ウソだったの…?」


四條(しじょう)元嗣(もとつぐ)は、そういう人間だ。隠し子のことも、愛してるわけじゃない」


「なぐさめになってないよ、それ…」